彩色の挿絵と本文が交互に配された絵巻一巻。義経伝説に因んだ御曹子の兵法書奪取譚。 長尺絵巻物形式の奈良絵本です。 詞書きと絵が交互に書かれていて、絵は大和絵の手法で描かれ美しい彩色がほどこされています。 著者および成立年代は分かっていませんが、物語りは、室町時代につくられた義経伝説の一つです。 奥州藤原秀衡の許にいた義経が、不思議な島々を巡り、蝦夷が島の大王の娘と婚姻を結んでついには大王秘蔵の兵法書を手に入れるという筋書きですが、絵の部分に島の名や人物の名を書き込んで分かり易くしています。 古典絵巻の古い伝統形式を継いでおり、装丁は外表装が唐草紋金蘭緞子ですが、題簽、留め書きなどが無いのでいつごろ作られたのかはっきりしませんが室町時代の終わりごろか江戸時代の初めころといわれています。 明治36年12月12日購入 [保存良]